そらでの生活
具体的にはどのように日々を過ごしているか、園の生活をご紹介します。
★ファンタジーを使って遊ぶ・・・子どもたちの一日
朝、それぞれ登園してくると、まずリュックの中身の整理です。
靴や帽子、タオル、お弁当… 定位置に置くのにまだ小さいお友達はおぼつかないのを
大きなお友達が手伝ってくれます。
手を洗って先生と「おはよう」をしたら、さっそく室内遊びにかかります。
自然の木で作った積み木や貝殻、木の実、布や紐を使って、子どもたちは自由に遊びます。
本当に子どもたちは、小さな木切れひとつに、様々なイメージを載せる事ができます。
舟、橋、ドライヤー、剣・・とひとつの積み木がいろいろなものに変身!
すでにできあがったおもちゃを与える事より、後の思考力を育てるために、
いろいろなイメージを載せていけるシンプルなおもちゃが、とても有効です。
そして、子ども同士、お互いのファンタジーを刺激しあうことができます。
そのために、室内遊びはとてもとても大事にしています。
大人にすれば、ただ遊んでいるだけなのですが、これこそが、幼児の能力を育成していく
大事な泉になります。子供の心はファンタジーの泉です。
ファンタジーを十分に育てた子どもは、枯渇しません。人生に喜びを見出します。
★教師が手仕事をしながら子供を見守ること
教師は保育中、何らかの仕事をしています。
子どもたちは「何してるの~?」と寄ってきて見ては「私もしたい!」とか「すごーい!」とか
言いながら、できることを手伝ったり、見るだけだったりして、また遊びに戻ります。
そして子どもたちは、自分たちの遊びの中に大人たちがやっているお仕事を、
模倣してとりこみます。7歳までの子どもは、模倣による学びが基本なので、
「教える」のではなく、「よいものを見てもらう」が大切になります。
大人が、きちんと整理された仕事の仕方を見せてあげるのと、いきあたりばったりな仕事の仕方を
いつもしているのを見るのとでは、子どもたちの内面が受け取るものは、とても違ってきます。
子どもたちは、大人の仕事に、思考の一貫性を感じ取ります。
美しい仕事を見ること、また、できあがってくるものが、とてもおいしかったり、
美しかったりする事で、子どもたちは、生活の中に感動を体験し、
それが仕事や人生への信頼になります。
生活が、「秩序だって、美しく作られていく」と、感じ取れるのは実にすばらしいことです。
★お遊戯(ライゲン)の時間
自由遊びのあとに、お遊戯(私たちはライゲンと呼んでいます)の時間があります。
季節のモチーフや、童話のモチーフを使って、歌や詩を入れながら、様々なお遊戯をします。
子供たちは、劇の中に入っていくように、ライゲンを毎日体験します。
教育的意図は一言では言えませんが、音楽や文学的な詩のモチーフが、子どもの内面を豊かに
育てること、様々な動きを体験する事で、まだまだ無秩序な子どもたちの体を器用さの中に
いざなう事などです。
子どもたちは手遊びも大好きです。
手先というのは、体の一番端っこで、幼児の意識が感じにくいところです。
けれども、ここに意識を持ってくる事で、子どもたちは自分の体を感じますし、
加えて様々な美しい詩とともに手遊びをすることで、心と体をつなげ、
自分の中にしっかりと着地すること(受肉)ができます。
★室内遊びと外遊び
二つの遊びは、子どもたちへの影響がとても違います。
概ね、子どもたちは外で遊ぶ方が、平和に機嫌よく遊びます。
砂場の砂や水、庭で出会う生き物は、子どもたちにとって、飽きる事のない素材です。
風や光は、子どもたちの心を明るくし、雨や冷たい風でさえ、子どもたちには友達です。
気に入った素材、また縄跳びや遊具で、どちらかと言うと、個々に遊ぶ形。
これに対し、室内遊びは、様々なおもちゃをどう使うか、友達とどのように関わるか、
より社会性と関わる遊びになってきます。
室内と屋外の二つの遊びの形態を日々体験する事で、子どもたちの内面は、
より多様な成長を遂げる事ができると考えています。
★お話の力・・心の中に意味のある像をいただく
毎日、素話の時間があります。基本、絵本は使いません。
教師が語る言葉だけで、心の中に像を作り、ストーリーを追うのは、子どもにとっては、
とても骨の折れることですが、すばらしく心の力を育てます。
何かイメージを載せられるものと一緒に語ってあげるほうが、子どもにとっては聞きやすいので、
ときどき人形を使ったり、動作をつけて語ることもあります。
でも、基本は素話。素材は、概ねグリム童話や各国の伝承のお話です。
文学的な表現が、子どもの語彙力を高め、心の深みに届きます。
心に像を形成する力は、後の思考力にも関わりますが、それだけでなく、伝承話の中にある、
人間の隠された真理を心の奥に沈めておくことが、一生の宝になると考えています。
例えば、「塔」「森」「川」など、一定のイメージは、人間の心の内奥に語りかけ、そこで、
人間の真理を開示していると考えられますが、これについては、心理学の分野でも語られている
ところかと思いますので、ご参考ください。
★ 縦割り保育
そらでは、家族のように、大人と全部の子どもが一緒に生活しています。
大きい子供が小さい子どもの面倒をみる場面もたくさんあります。
このことによって、子どもたちは、弱いものを守り、思いやる心を持つ事ができます。
また、小さい頃はできなかったことが、できるようになり、今は小さい子どもたちを助けて
あげることができると感じる事は、子どもたちの自己肯定感をすばらしく助けます。
教師も感動するほど、その成長はすばらしいものです。
小さい子たちにとっては、大きなお兄さんお姉さんのすることは、憧れで、
大きくなったらあれができる、これができると楽しみに待つことができます。
★ お祈りの時間
帰りの会で、ろうそくをつけて「お祈り」をします。
園では特定の宗教を提唱するものではありませんが、いつも「神様」や「お日様」や
自然のあらゆるものへの感謝を大事にし、大いなるものへのお祈りを大切にしています。
★身の回りのもの
子どものまだやわらかい体や感覚にとっては、
「生命から生み出された素材」がとてもフィットしますし、心をやさしく包んでくれます。
園ではなるべくプラスティックや人工的なものは避け、手作りのものや自然のもの、
単純で素朴なものを使うように心がけています。
音も、ピアノなど、大きな音がでるものは使わず、繊細な優しい音の楽器を使います。